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天使に囲まれて 5 守って [武道:千葉市中央区蘇我合気道アリオ蘇我]

  I君は蘇我アリオカルチャークラブで2年5ヶ月の稽古歴、小学3年生の男の子。お母さんが妹さんを連れてお買い物の間、稽古する。最初はI君、私のことが怖くて涙ぐむことも多かった。そのうち私が「こわおもしろい」人間だと理解すると、笑顔を見せるようになった。一番に教室に来て、受身を始める。「I君!今日も一番だね!えらいぞ!」と言うのが、彼とのいつもの挨拶。

 心配そうなお母さんに、「もうペースがつかめた様子ですから、大丈夫ですよ」と話した。お母さんは「長く続けてもらいたいと思います。どうぞよろしくお願いします」とのご挨拶をいただいた。会うたびに挨拶をし、様子を報告したものだった。私のギャグ、「I君はとてもまじめなところが、私にそっくり!」。このレベルの低さに、お母さんは困惑の表情をされたことも懐かしい。そしてそのやりとりの意味を、14日に知りました。

 12月中旬より休んでいたI君、お父さん妹さんと教室に来ました。私が「ご病気でもなさっていたのですか?」と話しかけました。お父さんから「家内が亡くなりまして・・・・」と言う。私には何のことだか理解できず。「えーと、それはお母さんのことですか?・・・・」、絶句。

お父さんのお話。「3年前より闘病していました。その中、よく耐えて子供を合気道に連れてきました。最期は食事が出来なくなり、元旦に亡くなりました。これが妻の遺志なので、できるだけこのまま合気道を続けさせたいと思います。闘病が長かったので、子供たちには母が急に居なくなったという思いはありません」とのことだった。
 
  まずもって心より、I君のお母さんのご冥福をお祈り申し上げました。そして自分の気づかなさぶりに、呆れました。お子様を稽古に預けてくださる保護者様の想い、それは自分も人の子の親だから分かっている、そんな気持ちになっていたのだろう。調子に乗り過ぎだな、私は。「長く続けてもらいたいと思います。どうぞよろしくお願いします」とは、託されていたのだ。
  無常迅速、一期一会とは、何度も聴き、口にもしていた言葉。だが、まるで分かっていない。分かってなんかいない。

  14日からI君は、稽古を再開しました。お母さん、西国の陽だまりの中から見守ってくださいね。あの小さな身体で、全身で耐えながら、稽古をしていますよ。普段とおりに稽古して、終えました。一度、きらりと笑顔を見せました。強靭だぞ、I君はもともと!そんな君を、私は預かっている。自分の進む道を見つけ私の元から去ってゆく日まで、しっかり預かりましたよ。

  花守・田守・屋守・子守。守(もり)とは、預かって管理する職業の人のこと。私も花守にすぎない。花とは、道場で預かった皆さんの心・身体のこと。この花を咲かせなければ。この自分の分際を怠るでもなく超えるでもなく。それが一点の素心です。


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コメント 3

(*^∇^)/★ぴぃー♪

I君、頑張って欲しいですね。
小学校3年生ですか。Yと同じですね・・・
私がI君のお母様と同じ立場だったら・・・
同じことをすると思います。
可能な限り 胴着で・・・
by (*^∇^)/★ぴぃー♪ (2008-01-19 08:22) 

楽心館と楽氣の代表

★ぴぃー♪ さん
貴方もいつも働きすぎです。
少し休まないといけないね。

Y君、笑顔が光るようになってくれました。
いつも口をへの字に曲げていたのに。
ぴぃー♪ さんとK君の愛情が彼を変えていくのを、見守ることしか出来ませんでした。

ではでは。
by 楽心館と楽氣の代表 (2008-01-20 22:27) 

一楽斎

I君、今では妹さんを連れて、バスで通ってくるようになりました。お父さんが一緒でなくとも、来られるようになったのです。もう新3年生。

妹さんは椅子に座って、みんなの稽古を見ています。とても元気そう。

安心、安心!

by 一楽斎 (2008-04-08 08:15) 

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