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石川先生の技が怖いから [AIKIDO TECHNIQUES 合気道 技]

毎週日曜日になると、私は時計ばかり気にしている。午後2時16分--白くて大きなエナメルバッグを背負い、木刀の入った紫色の袋を抱えて家を出る--

私が合気道を始めたのは小学校2年生の6月。あまりにも泣き虫で弱虫な私を見かねた母が八王子支部への入会を申し込んだ。
始めのうちは道場へ行くのが嫌で嫌で仕方がなかった。何より痛い。受身がうまくできずに頭をぶつけたり、「イッキョウ」という(そのころの私には)わけのわからない技をかけられたり・・・。
あまり思い出したくないが、そのころは毎週のように泣きそうになっていた。私の泣き虫ぶりは小学校4年生のころまで続いた。

小学校5年生の春、紫帯になった私は「塾の日程の関係」で八王子支部から立川支部へと移った。実際のところ、本当に塾の日程で八王子支部に行かれなくなったのは6年生の春からで、移った理由のほとんどは「石川先生の技が怖いから」だった。
その春、私は晴れて茶帯となったが、依然として合気道は嫌いで、親がいうからやる、「やっている」のではなく「やらされている」という意識だった。

中学校に入学し、「塾の日程の関係」がなくなった私は、立川、国立と、支部を転々としていた。それほどまにで、石川先生の技が怖かったのだ。

中学1年生のとき、学校の授業で柔道をやった。自分より大柄な友達をうまく倒せるようになる、というのがとても楽しかった。人間ってこんなにすごいことができるんだ、と思った。そしてそれは合気道も同じなんだ、とも思った。

そのころからだったと思う。突然、合気道がとてつもなく楽しくなった。その柔道の授業がきっかけだったとも言えるし、中学生になって本格的に大人の部に出るようになり、型だけではない、力抜きの技に挑戦するようになって、合気道の本当の面白さにようやく気づいたからだとも言える。
中学2年生の春、3級になったのと同時に、あの怖くてたまらない石川先生のいる八王子支部へと戻ったのだ。

信じられないほど合気道が好きになった私は、中学校2年生の夏、合宿にまでに参加した。密度の濃い、とても勉強になる3日間を過ごすことができた。そして中学3年生の夏、合気道が好きになってからずっと目標としていた黒帯を、とうとういただくこととなった。

中学3年生の9月から12月までは受験の塾へ通うために八王子支部から立川支部へ移り、1月から2月までは休まざるを得なかった。しかしもうそれは「石川先生の技が怖いから」ではなかった。「やらされている」合気道は、親に止められるほど「やる」合気道になっていた。

いま、私は高校1年生だ。めまいがするほど忙しい学校、部活、塾。でも、合気道だけは譲れない。八王子支部への片道1時間半の道程もまったく苦ではない。その1時間半の先には、本当に楽しい1時間半があるからだ。

毎週日曜日になると、私は時計ばかり気にしている。午後2時16分--白くて大きなエナメルバッグを背負い、木刀の入った紫色の袋を抱えて家を出る--

八王子支部・後藤鞠奈

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タグ:子供合気道
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