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いとし子に 母はつぶやく そなたありてこそ サトウハチロウ 詩集 [家族]

私が物心ついた頃より、我が家に一枚の飾り皿がありました。そこには

いとし子に 母はつぶやく そなたありてこそ サトウハチロウ

と、描かれていました。

当時の家の近くにあった世田谷信用金庫の、販促品であるとおもいます。毎月のある日に貯金をすると、いただけるような品です。

母のお気に入りの一つです。

幾十年過ぎて、この「そなたありてこそ」の言葉の重みを、感じることになりました。お察しのとおり、私が父の身になったからです。

仕事から疲れ切って帰る。しかし息子は寝ている。寝顔を見て、スースーと寝息を立ているのを確認する。そして思うのです。

「そなた ありてこそ」

こうして16年過ぎましたが、今日も先程、高校二年生の寝顔を見てきました。しかし、最近、自分は理解が浅かったと反省しました。

当会には、様々な事情の方が参加しています。ある重度の自閉症のお子様と、御父さんの話になります。参加して二ヶ月が経ちました。

お子様の到着が遅いと、「今日は来てくれないのだろうか?やはり気に入らなかったかな?」、「いったい何の力になれるだろうか?」などと思いながら、待った二ヶ月です。

しかし御父さんは、「参加させていただく場があるだけで、ありがたいです」そのような御考えです。稽古を終えて、お子様と手を繋いで帰る後姿を見送る時、ほんの一時でも御幸せにお過ごしいただきたいとの想いが、込み上げて参ります。

最近このお子様が、正座で手を付いて「おねがいします」と、仰せになりました。いったいどれだけお家で御父さんと、練習してきたのでしょう。

「上手だね。今度は立ち方坐り方を、覚えましょうね。それが出来たら、手解きだ」などと、会話させていただきました。そこで思いました。「そなたありてこそ」と。

ただ、いてくれるだけで、いいんだよ。

私は、なんて多くのことを、求め過ぎていたのでしょう。自分は全力で生きているんだぞ、お前はどうなんだ?と。

そもそも私は、誰に対しても、そうなんだから。始末が悪いですね。


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