若者を未熟にした核家族の弊害 [正しい歴史認識:国防 自衛 護国]
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若者を未熟にした核家族の弊害 帝塚山大学名誉教授・伊原吉之助
先に若者に「畳生活」を推奨しましたが、もう一つ、ぜひとも薦めておきたいことがあります。祖父母や年長者と対話し、その話を聞くことです。
《長幼の序や畏敬の念学べず》
某中学校の先生曰(いわ)く、務め始めて家庭訪問したら、見どころのある生徒の家には必ず祖父母がいて神棚と仏壇があつた、と。
子供は父母を見て育ちます。父母は祖父母に仕へますから、子供は父母が敬ふ人がゐると知ります。祖父母は神や仏を敬ふので、もつと偉い存在もあると承知します。かうして長幼の序を知り、秩序を心得、大いなるものへの畏敬の念まで心得ます。己の「分」(集団内の自分の位置)も悟ります。
戦前戦後の日本では三世代同居が普通でした。これが崩れるのは高度成長以降です。核家族が普及し、新婚夫婦は長男でも親元を離れて新家庭を営むやうになりました。すると未熟者が輩出します。
新婚夫婦は未熟で出産も育児も手探りでやるほかない。何事も初体験し惑ひ悩みます。
祖父母は家庭内の世間の目、家庭と社会を繋(つな)ぐ存在です。それがいないと我慢が抑制できない。他人に構はぬ“新人類”が勝手し放題の核家族から出現しました。
躾(しつけ)とは、子供が成長とともに身につける秩序感覚であり、他人との付き合ひ方の基本です。
子供の躾は若い父母には難しい。叱る一方なので躾が偏る上、父母は家庭では気楽に振る舞ひ、子供の手本になりにくい。
その点、祖父母は「家庭内の世間の目」ですから、父母も自然と身を慎みますし、孫を第三者の目で見て褒める余裕もあります。
「×ちやん、偉いねえ、こんなことがちやんとできるのね」
孫は得意になり、おぢいちやんおばあちやんが大好きになつて、良い性格がどんどん伸びます。
祖父母は人生経験豊かで生活の知恵がたつぷりあり、日常生活の中で折に触れてそれを孫に伝授します。
《幼稚化した若者世代の国語》
箸の持ち方、鉛筆の削り方、肥後守の使ひ方、林檎(りんご)の皮の剥き方、風呂敷の包み方、ちよつとした怪我(けが)の応急手当てから、脱いだ履物の揃へ方、友達との付き合ひ方、字の筆順、歴史事件の年号の覚え方、桃太郎・かちかち山のお話から江戸いろは歌留多(がるた)の文句、和歌や俳句の幾つか、偉人の逸話、警句、童謡唱歌まで…。日本文化の常識は祖父母から孫に伝はるのです。
祖父母が孫を訓育感化すると、孫はまともな日本人に育ちます。人生経験未熟な若い父母では、子供は日本人らしい発想法や行動様式が十分身につきません。だから高度成長以来、日本人が育ちにくくなりました。
新婚家庭が祖父母を排除して生じた最大の障害は、若い世代の国語が幼稚化したことです。
日本人および日本文化の根幹は国語です。それがうまく継承されてゐません。日本人が言霊と尊び、聖書も「太初(はじめ)に言葉ありき」と宣言した大事な言葉を、戦後の日本人は実に粗末に扱ひました。せめて祖父母が孫と同居してゐれば基本はちやんと伝はつたのにと残念至極です。
三世代家庭では敬語が自然と身につきます。父母が祖父母に敬語を使ふからです。そして敬語こそ人間関係を重んずる日本文化の精髄です。ここで孫は言葉の使ひ分けを学びます。これが将来、外国語を学ぶときに役立ちます。国語の使ひ分けは、国語と外国語の使ひ分けに通ずるからです。
《祖父母や年長者の話を聞け》
敬語は今、辛ふじて大学のクラブ(先輩・後輩の序列に厳しい体育会系)に残るだけ。でも「ファンの皆さんが応援してくれてゐるので…」と言ふ選手が少なくない。「応援して下さつてゐるので…」と言へない。この選手が祖父母と同居してゐたら直ちに注意を受け、次の機会に正しく表現できたはずです。
近頃の若者は、言葉を耳からでなく目から入れてゐます。NHKのアナウンサーが「タニンゴト」と言ふ。「ヒトゴト」が耳から入つてゐないのでせう。「他人事」と書いても音声では「ヒトゴト」としか言はないのに。
日本人の日本人たる基本は、国語を正しく読み書き聞き喋(しゃべ)ることです。国語を疎(おろそ)かにして日本人と言へませうか?
戦後の日本では国語が実にいい加減に扱はれてきました。じ・ずとぢ・づははつきり発音が違ひ、国語では圧倒的に破裂音ぢ・づで発音するのに、全て摩擦音じ・ずで表記する、これだけでも、現代仮名遣いは再改訂が必要です。
若者は今しか知りませんが、その今も、昔と比較して初めて知ることができます。父母の知る昔では近すぎる。祖父母の知る昔と比べてやつと今の時代の特徴が掴めるのです。
若者よ、祖父母や年長者の話をよくお聞きなさい。そして自分が生きる今を客観視するとともに、人生経験豊かな高齢者から人生の知恵をたつぷり受け継ぎなさい。(いはら きちのすけ)
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