政府が「匠の精神」の育成を重点戦略として掲げた中国。中国メディア・捜狐は16日、まさにその「匠の精神」によって、わずか3平方メートルほどの店舗面積ながらも年間3億円を売り上げる名店に成長した日本の和菓子店について紹介する記事を掲載した。(イメージ写真提供:123RF)

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 政府が「匠の精神」の育成を重点戦略として掲げた中国。中国メディア・捜狐は16日、まさにその「匠の精神」によって、わずか3平方メートルほどの店舗面積ながらも年間3億円を売り上げる名店に成長した日本の和菓子店について紹介する記事を掲載した。

 記事は、東京にあるこの和菓子店が羊羹と最中という2種類の菓子しか販売せず、しかも羊羹は1日限定150個、1人あたり5個までの購入という制限を設けていると紹介。にもかかわらず、開店前の早朝から行列ができるほどの人気が40年あまりも続いていると説明した。

 その人気ぶりの理由について記事は「羊羹づくりを一生涯の仕事と認識し、1つ1つの作業に対して心から厳しく向き合い、極致に至らしめている」と解説。日本は華道、香道、茶道といったように「道」を極めることを貴ぶ国であり、この店の羊羹や最中づくりの姿勢も「ほぼ『道』に近いものがある」と評している。

 また、1日150個と数量を限定しているのも「品薄営業」目的ではなく、品質に対する追求の結果であると説明した。そして、店側の姿勢に対して客たちも「味を守ってほしい」と理解を示しており、常連客によるファンクラブ組織まで作られたと紹介している。さらに、「より尊敬されること」として、この店が従業員の1割に障がい者を採用する形で社会に貢献していると解説。「社会的弱者への配慮や温情が含まれたお菓子は、独特な滋味を持っているのである」とした。

 飲食業をはじめとする中国企業が抱える課題として、手広く構えるよりも1つや2つのものにこだわりを集中させて、質の高い商品やサービスを提供するスタイルへの転換がしばしば取り沙汰される。この和菓子店は、まさにそれを代表するような事例であるということができそうだ。お金を稼ぐのも「道」と言えば「道」だが、そこに固執していては結果的に多くのお金を手に入れることは難しくなる。モノやサービスに対する「道」を究めることでファンの信頼を獲得するという姿勢が、中国の商業界に求められているのだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)