SSブログ

自己の確立 [素心]

 中野の稽古へ行く途中の昼食。業態からするとファミレスというものに入った時のこと。
 入り口のレジで男の客が、出されたメニュウがまずいと声高に文句を言っている。応対の若い男が「申し訳ありません」と、ペコペコ平謝りで代金を受け取ろうとしていた。その二人を右側に見ながら通り過ぎて、私は席に着いた。
 私は何故かレジに立っている社員が気になり、右側を振り返った。ベレー帽に赤いファッション眼鏡を掛けている。あの男は知らないな。私の錯覚だと思って正面を向いた。 そして思った。「でも眼鏡の奥のあの瞳は?」。もう一度右側を振り返った。あーやはり!彼だ!
 彼とは、かつて合気道の稽古に来ていた青年。「中野の稽古ですか?」と、彼も気まずそうに挨拶を交わした。
 稽古に来ている頃、何事にも一歩引けている彼であった。注意をしても何を言われているのか、「何故そんなことを言われなければならないのか?」のような表情で、趣旨が理解できない様子でもあった。
 そんな彼が今、ペコペコと頭を下げていた。よく耐えていたね。偉いぞ。働く場を得て数年が過ぎたところ。

 「働く」を「端楽(はたらく)」と説いた方もある。身の回りの人を楽にさせよう、そんな想いと行為が「はたらく」の意味であり出発である。私はそんな意味だと思ってきた。これを儒教の大学では「修身斎家治国平天下」という。我が身を修め、家庭を築き上げ、国を治め、天下が平らか。これが物事の順番。道でもある。ひとりひとりが自分の人生ですべきことをしっかりやってゆく。それで各家庭も国も成り立てば、貧すれども品格のある国になる。 

 OECDのなかで国民一人当たりのGDPの順位が下がったことが、話題になっている。「国民が総力を再結集して」などと呼びかけることよりも、教育の根本が大切だと思う。そんな人の道を歩む、気づきを与える場でもありたい。楽心館は。

 彼は、ああした毎日を生きている。それを確認することができて、私の気持ちはすっきりした。どうぞそのまま、ずっと真っ直ぐに進んでください。アニメの天才バカボンのパパは喝破していた。「これでいいのだ!」と。あの主題歌の明るい長調を口ずさんでみる、気分にもなった。



雪の日の中野の稽古、3人休む。

合気道楽心館 http://www.aiki.jp/
動画ブログ:剣柔一体 http://blog.goo.ne.jp/ichirakusai3
メールアドレス:ichirakusai3@mail.goo.ne.jp


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

なんと峯村さんが耐えて香ばし 6 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。