暑中稽古 [武道館:東京都足立区綾瀬:東京武道館合気道]
台風の日に
台風11号が、四国・中国地方で猛威振るう日、足立区東京武道館の稽古日でした。7月17日のことです。
稽古場である第2武道場へ着くと、徐々に風が弱まってきました。それまで風音に消されていた蝉の声が、聞こえてきました。
台風の
風弱まると
蝉の声
駄句を詠みました。
窓の外は蝉の声、道場内の静寂がさらに際立ちます。静けさと蝉、松尾芭蕉の有名な句を、思い出しました。
閑さや
岩にしみ入る
蝉の声
お稽古人様が訪れる前の道場の静けさ。蝉の声が、道場の床にしみ入ります。
そこへ皆が集まる。
そして、活発に稽古します。
誰もが去った後、いつも通りに台風の日に集まってくれる皆さんへ、感謝に満たされます。そして一抹の寂寥が、稽古後の道場の静けさを、さらに強調します。
猛暑の日に
台風が去った7月20日は、猛暑となりました。千葉県は35度でした。午前中の稽古では、朝露のようにしたたる汗が、耳や顎に光っています。束の間の休憩時間、扇風機の風を体に当てますが、稽古着がほとんどの風を妨げてしまいました。
ニュースでは「危険な暑さ」という言葉を使い、注意を促していました。それにもかかわらずお稽古人の皆さんは、いつもと同じように集まり、坦々と稽古します。
日々の稽古は、「台風だから」・「猛暑だから」という理由で、休みません。もちろん交通機関が止まるような事態であれば別ですが。それにしても、なぜでしょう?
理由は一つ
「雪に耐え
嵐に耐えし後にこそ
松の位も高く見えけれ」
―明治天皇 御製―
松は古くから日本では、神宿る神聖な木とされました。祀る(まつる)・祭る(まつる)が語源であるとする説が有力です。明治天皇は、長い歴史を持つ神聖な日本民族を、「松の位」と例えているのです。
修羅場を潜り抜けた人間が成長するのか?
それとも
あれも権利、これも権利と守られた環境下の人間が成長するのか?
耐えて、耐えてこそ、人格と武道の品格が、高まることを、我々は知っています。
次世代へバトンを渡す
青少年にとり、稽古が日々の稽古や日常に、形として成果が出れば幸いです。もちろん形として成果を出すべく、指導させていただきます。しかしそうとは言えない場合でも、続けただけでも意味あると思います。
遊び半分で笑ってばかりだったけれども、暑い日に寒い日に通った思い出。それだけでも、良いと思います。将来、逃げ出したくなる場面に直面する、そんな時のささやかな支えになれば、幸いです。
夏で暑いのに、男の子まで道着の下にシャツを着ているのは、時代というものでしょうか?
by モカモコパパ (2015-07-23 08:09)