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道場経営のこれから、(社)楽心館の場合 [千葉県千葉市合気道本部道場hombudojo]

  現在まで私は、東京・千葉を中心に、20数年、稽古活動をして参りました。活動するからには、人・技術・金銭の動きなので、道場経営という「技術や環境を提供するサービス業」を営んできた、ともいえます。
  稽古活動のための経営なので、経営のための稽古活動ではありません。主体と従体が、ひっくりかえらないようにと、戒めてきました。だから努めてマネージメントをしたということは、ありません。
  稽古を希望する人と縁があれば、そこへ訪ねて行く。お稽古人様が増えすぎて、稽古の質が落ちると思えば、クラスや地域を分ける。自分の身の丈の分際をわきまえて、それを繰り返したきたに過ぎません。


 

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 (写真は本部道場、満員御礼とはいっても、そもそも道場も玄関も小さいのだ。身の丈に合った、が大切です。)

  最低限、社会構造の変化に対して意識することは、大切です。人口の変化には注意していたので、首都圏では必ずやっていけると、昔から思っていました。しかしこれからは、たいへん難しい時代に入ります。
  私たちの仕事も、高齢社会の到来・少子化の問題・中国朝鮮半島からの人口侵略の問題に対応しないと、やっていけない時代に入っています。

今から30年ほど前、1980年の国民平均年齢は33.9歳(高齢者の割合は9.1%)
1990年は37.6歳(12.1%)
2000年は41.4歳(17.3%)
2010年は45.1歳(23.1%)
そして18年後の2030年は50.9歳(31.8%)と予測されます。

一方、この十数年で首都圏の人口は、380万人あまり増加、国民の28%が集中し、地方は過疎化により人口減少著しいです。
こうした変化の中で、首都圏であっても、私同様の個人事業者は、規制緩和や高齢化、不況により廃業が増加し、30%以上減少しました。道場経営の世界でも、親の道場事業を継承した方はともかくも、私と同世代の方の少なさは、語るまでもありません。

  人口研究者によると日本の人口は、絶滅の危機にあるといいます。人口の動きは高精度かつ長期的予想が可能で、「合計特殊出生率」が「人口置換水準」という基準を越えていれば人口は増えます。下回れば減少します。日本のこの置換水準は2.07と推定され74年以降戻っていないそうです。
  今のままでは2100年の人口は5000万人弱。今、私たち一人一人が、人口増加に向けて真剣に考えないと、移民受け入れしか方策はありません。

  さてこうした中、武道という日本の身体文化を伝えていくために、時代に合った道場経営が必要です。二つの方策があります。
1、縮小していく日本の中に残す
2、海外の良き理解者へ残す。

2.については、別の機会に考えるとして、1.を話題にします。


  国内で事業を行うには、人口減少高齢化の波だけでは済まされません。グローバル化による製造業の海外流出・国富流出にともなう失業率の増加、所得の減少の波です。アメリカ・EUも資本主義の転換点にあり、世界経済の中心はアジアに移ってますので、当面この流れは変えられません。

  様々な道場の特性、運営の仕方がありましょうから、どうすれば継続可能な道場経営が出来るか、分かりません。楽心館が20年間にどのような変化をしてきたか、それが皆様のご参考になれば幸いです。

技術について
スタートは現代的合気道です。観念的形式的な稽古に満足することなく、原初的すなわち古流の稽古を、研究しました。今日では、剣柔一体の合気をお伝えになった山本角義先生の接点感覚と身体使いを、基本にしています。刀法と身法の一致の修錬です。

参加者の年齢構成
スタートは中学生以下の子供:一般の比率は、2:1ほどであったと思います。現在では、子供より一般の会員数が多くなってます。今後も一般の比率が増え続けることを前提に、稽古内容の編成と環境作りに努めます。

道場の運営構成
A.本部直轄と支部の構成
スタートはすべて本部直営です。自分一人しかいないので、当然ですね。支部道場に指導者を置くことの問題です。組織を拡大したければ、どんどん指導者を育成すればよいでしょう。今日的な言葉で、フランチャイズという形態です。しかし問題は、主宰者との地理的距離と会う回数の乗数効果が作用します。結局、本部主宰者と支部道場は、一生懸命やればやるほど、遠心分離機の関係です。現在国内3か所だけ、支部道場がありますが、積極的に増やす予定はありません。(海外展開となると、別問題です)

B.道場とカルチャー教室の構成
7年ほど前から、ショッピングモールのカルチャー教室に、出店?しました。多様な場所・時間帯・稽古との関わり方があるので、カルチャー教室的な稽古活動を、無視することはできません。今日、道場とカルチャー教室の構成人数比率は、3:1にまで増えています。しかし問題は、事業収入を得ることは、とても困難です。カルチャー教室の利用は、戦術的利用価値がある範囲でのことになります。

a.カルチャー業界

1.デベロッパーが新聞社系である場合

2.デベロッパーが流通企業系である場合

3.デベロッパーがカルチャー専業である場合

4.デベロッパーが流通企業で、カルチャー専業と提携している場合

があります。

1.はシェアーをどんどん落とし、2.3.4.が、シェアーを伸ばしています。

私の予測では、今後一番シェアーを伸ばすのは、2.です。それぞれに「何を大切に、優先順位は?」の考え方が違います。店舗への集客力も、段違いです。

会費設定
 当会は、20年前とほとんど変化なし。消費税導入時に、若干値上げをお願いしました。今後も消費税増税が実施された場合、外税で加算させていただく予定です。長年のデフレ不況と所得減の環境下ですが、会費を値下げする予定はありません。値下げするより、稽古の質を高めることの方が、大切です。

サービス別消費者物価指数.png

 消費者物価指数を品目別に見ると、【図表】のとおりです。総合指数は、1990年代には上昇していたが、98年をピークとして下落を続けている。 工業製品が90年代半ばからかなり顕著な下落を示しているのに対して、サービスは2004年までは上昇を続けていました。

 具体的に言うと、93年から08年の間に、工業製品は約6%下落したのに対して、サービスは約8%上昇した。消費者物価指数総合は、この15年間で約2%上昇した。

 サービス価格の例として自動車教習料は、93年から08年の間に約3割も上昇しました。印鑑証明手数料も4割の上昇。介護も2000年からで8%上昇。企業が社員研修にかける費用も、バブル時代と変化ありません。道場経営は、サービス価格です。ある意味、後進国工業化による日本工業製品の価格下落と、道場の会費設定は因果関係がなかったと言えます。

 しかしこれからは、違います。サービス価格の動向は下落の兆しが出ています。サービス価格は04年までは上昇を続けていましたが、それ以降ほほ一定だった。ところが、09年以降は若干下落しています。これからは下落の影響が目立ってきます。

 特色のある環境・質の高い指導につとめないと、会費の維持はできなくなると考えます。昨今の都内の状況では、個人事業主の廃業が急増しています。今年後半から家電メーカーを筆頭に、リストラの嵐が吹き荒れるのではないでしょうか。

 では何が特色ある環境・質の高い指導か?人それぞれです。当会では、なにも高価な調度品のある道場であるとか、お宅的技術を志向するでもないと思います。武を通した身体つくりと、気づきの自己形成・和らぎの社会形成の方向へ、歩みたいと思います。

級・段位の認定
 稽古への参加と級審査は、リンクさせていません。希望者だけが本部に入門費を納め、審査をうける稽古方法をとります。希望されない方は、稽古だけを楽しみます。中には深い考えで、級審査を受けない方があります。そうした方は、よく研究し、稽古もします。それに実力がともなっていれば、級を飛ばしていきなり段位を与える場合があります。しかしそれは、稀です。殆どの方は級審査を、成長の助けとして理解して、受けています。こうした方の約30%が、昇段まで継続しています。

知的発達障害者、高齢者と女性
 こちらは、まだまだ伸びる余地があります。この数年、こうした分野に取り組んでいます。ゆっくりですが、成果を出しています。むしろこうした方々のお役にたてることで、指導者として本当にやりがいのある分野です。経済的事業として成り立たないですが、弱者に役立てられずに、何の価値がありましょうか。当会子供クラスの約4%が、自閉症などの発達障害をお持ちですが、生き生きと活動されています。当会の誇りでもあります。

以上思いつくままに、当会の変遷とこれからを、述べさせていただきました。


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吉田

質問:
道場(ジム)を新規で経営したいと考えています。
ある程度の人数が集まるまでどれぐらいかかるのでしょうか?
一般的な会社の起業より武道系の起業は敷居が高く感じますが、技術があれば競合が少ない気もするので、以外にうまくいくような気もするんですが。

備考:
小学生の息子とその友達に、総合格闘技や合気、古武術、空手、柔道などの経験から子供が怪我せず、飽きず、護身として対処できるようなテクニックを子供の様子を見ながら色々と教えてきました。
自分も体を鍛えるのが好きなので、一石二鳥になるので、自己保有の空き物件があるのでそこで教えたいと思っています。
by 吉田 (2022-04-06 12:41) 

石川智広です。

吉田さま
「自己保有の空き物件がある」、そこへ投資して稽古場所確保。たいへん恵まれたスタートです。しかし、投資利回りが、ありやなしや?ご心配ですね。
吉田さまの稽古内容に、想定地域にどの程度需要あるのか?
時間借りスペース確保して、数年前活動してみて、継続可能性あるのか?試してからでも、よろしいのではありませんか?

私は九十九里町不動堂という道場あります。過疎地でかつ商圏の半分が海という、最悪の環境です。
http://aiki.jp/chiba/chibashi-fudodo/

ここでさえ、年に一人は入門しますから。どこでもコツコツ活動すれば、必ず縁は繋がると思います。
ご活躍を祈ります!

by 石川智広です。 (2022-05-16 11:33) 

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