無常迅速と呼吸 [素心]
無常迅速
私の人生に豊かな影響を与えてくださった方と、5月19日に面会しました。その91歳の出水先生が、別れ際に語りました。
禅語に言う「無常迅速」のことでしょうね。
「時間は、瞬く間に、過去となる。
足で地球を踏みしめていることのチャンス・有難さ。
最近そのことを、強く思うの」
「瞬く間に、過去となる」。この部分を、声と表情で強調し、話されました。
人の一生は短く、死期が思い掛けず早く訪れる。それを伝えたかったのでしょう。
生老病死苦
目標を持って生きる、それは幸せなことです。しかし目標に執着していたのであれば、目標以外を見失っていることになります。
ハッ!と我に返る切っ掛けが、友人・親族・自分の老病死である場合あります。
死、その時、地球を踏みしめたくとも、それはできない。
呼吸の大切さ
私は出水先生から、書の手解きを受けました。道場の主だった書物も、お願いしました。もちろんこれもです。
30歳代だった私は武道の立場から、呼吸とは何か?ということを、考えていました。この頃、出水先生とご縁をいただき、書を学ばせていただきました。
出水先生のご指導は、「呼吸を入れるのよ」と、仰せになるばかり。
私は、「呼吸って、なんですか?」と聞きます。すると先生は、筆を執り、グッグッツ!と紙の上に墨を載せます。
この鼓動を感じろ!と、言わんばかりでした。
長い間分からなかったこと、「武道の呼吸」と「芸術の呼吸」の接点。それが少し、感じられる気がしました。
「今、生きている」、このチャンス・可能性です。生老病死、全てを入れろ!ということです。
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