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眼差し [素心]

  道場間を移動中、運転しながらラジオを聴くことが多い。時には珠玉の収穫を得ることもある。その一つに、ある眼科医の話がある。
  タイだったか、アジアの国を奉仕で診察しているそうだ。時々日本に帰って資金を確保する仕事をしては、アジアに赴くという。
  アナウンサーが、「何故そうしたことをなさるのですか?」と質問すると、彼は答えた。
 「南国は紫外線が強いために、白内障などで視力を失う方が多いのですよ。手術をして差し上げて視力が戻った時、なんとも言えない笑顔を見せてくれるのです。それですね」、そのような回答をなさっていた。この眼科医は、目的と行いと生活が一致していて、隙のない方だなと、感服したものである。
  これは武道で氣剣体一致というものだ。想いのままに剣が行き、体が入っている。この一致を以って、一刀流の「一」とされている。この眼科医にすれば、人を救う(氣)ために医療技術(剣)があり、そこに全ての生活(体)をかけるのは、あたりまえのことなのだろう。一刀流の技は知らずとも、極意に達していると言える気がする。

  時に私の原点は何だったのだろうと、思い返してみた。http://www.aiki.jp/honbu/rakusinkan/10years.html(楽しく遊ぶ子供たちの姿、そしてそれを見つめるお母さん・お父さんの眼差しです)
子供たち・保護者様のきらり笑顔、だったように思う。

  過日、退会の挨拶に来られたお母さんの話しをしよう。ご兄弟を参加せていて、第三子をご懐妊なさったので通えなくなるからである。
  実はこのお母さんは、母子家庭に育った。そしてご主人も母子家庭に育った方だった。「夫婦とも父親を知らないまま育ったため、私たちは子供の叱り方が分からなかった。それが先生(私のこと)の合気道教室を見ていて、とても勉強になりました。それで私も子供を叱れるようになって。最初は手が震えました」と仰せになってたお母さんである。お父さんを連れてきて、稽古を見ていることもあった。

  お母さんは、ご兄弟が合気道を始めた頃(約5年前)を思い出して、ポロリポロリと大粒の涙を流されていた。あの頃と別人のように自信を持ったお母さんの、素晴らしい眼差しを拝見した。

 「ありがとうございました」と私とお母さん、深々と頭を下げての別れであった。

合気道楽心館(AIKIDO RAKUSHINKAN) http://www.aiki.jp/
動画ブログ:剣柔一体 http://blog.goo.ne.jp/ichirakusai3
メールアドレス:ichirakusai3@mail.goo.ne.jp


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