SSブログ

天地人 [素心]

  軸を立てること天地人氣を通す体中線。その瞬間、緩んだままに等速直線運動。以上稽古で常々、我々は身体を錬っている。これは稽古での体軸の天地人。生活の中では「天の時、地の利、人の和」としての意味となる。

   ところが私は、この意味が良く分からないでいる。世間では、「人の和」を平たく「仲良く」ほどの意味で使うことが、多くなった。それは違うのではないだろうか。

  孟子曰はく、天の時は地の利に如かず。地の利は人の和に如かず。三里の城、七里の郭、環りて之を攻むれども勝たず。夫れ環りて之を攻むれば、必ず天の時を得ること有り。然れども勝たざるは、是れ天の時地の利に如かざればなり。城高からざるに非ざるなり。池深からざるに非ざるなり。兵革堅利ならざるに非ざるなり。米粟多からざるに非ざるなり。委てて之を去るは、是れ地の利人の和に如かざればなり。

   孟子は、天の時を得るは重要だが、地の利ほどのことはない。地の利を得ることはさらに重要だが、人の和ほどのことはない。もっとも大切なのは人の和である。そんなことをいっている。ここでいう「人の和」とは、何であろう。

  孟子は軍略兵法を説いている。これは毛利元就(もとなり)の「三本の矢の譬え」と同じものと思われる。元就が死ぬ前に、枕元に置いた一本の矢を握って二つに折った。そのあと、矢を三本集めて折ろうとしたが、なかなか折れない。元就は言った。「三本まとまればなかなか折れない。お前たち三人の息子(隆元・元春・隆景)が、この矢のように心を揃えて結束すれば、毛利家は安泰だ(輝元を守れ)」。

   孟子の「人の和」とは、戦時においては何をさておき、勝ち残るという獲得目標の元に人心が結束すること、これが最重要である。その次に城や地理、時勢運気を考えればよいのである。そのように考えられる。ではここでいう「人の和」は、平時の「人の和」とどのように異なるか。「平和の和」でなければ、「谷和原かに」という時の和でもない。「輪」、すなわち人の結束力ほどの意味であろう。

   ではこうした輪、人と人のつながりはどうしたら、実現するのだろう。これこそ孔子が「道」として求め続けていたものと思われる。孔子は喝破した「朝(あした)に道を聞かば 夕べに死すとも可なり」 孔子のいう「君は君たるべく、臣は臣たるべく、父は父たるべく、子は子たるべし。」とそれぞれに為すべきことを為して成り立つ社会 君(きみ)は君たるべく」とは、君が君としての役割を果たせない時、臣は天に代わって君を討ち社会を治める。そんな時代であった。それぞれに為すべきことを為す機能があって、人の輪があり、人の和も生まれると考えられる。ここに無条件な仲良く・平和は存在しない。

   今日、民主主義の社会である。孔子の時代と表現が違ったり、到達手段が異なったりはある。しかしあり方として、孔子の時代と今日と、どれほどの違いがあるであろうか。このように考えてくると、「平和の和」、「谷和原かに」という時の「和」を、今日考察してきた結束力としての「輪」に置き換えた方が、この国の抱える政治的社会的問題解決の糸口が、垣間見えるような気がする。「平輪な国、日本。谷輪原かな日本人」、これでいいではないかと思う昨今である。楽心館はずっと以前から、このあり方でと思ってきた。

SN3D00820001.jpg

Aikido Rakushinkan Japan 合気道楽心館(東京・千葉・埼玉):http://aiki.jp/
Movie Blog 剣柔一体(北海道苫小牧・東京・千葉):  http://blog.goo.ne.jp/ichirakusai3?
Photo 写心館:http://photofriend.jp/photo/list/54609/
 問合せメール:ichirakusai3@mail.goo.ne.jp

写真で受けをしているのは、デコママこと剱持さんです。

(親子で合気道: http://ichirakusai.blog.so-net.ne.jp/2009-04-09


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 0

コメント 2

でこママ

写真館の「3つの水滴」写真は、とても美味しそうです。
童謡にある、蛍を呼ぶ「甘い水」はこんな感じでしょうか?

写真、ちょっと恥ずかしいですね。
このときの動画を見て、実際に受けている感覚よりも「ガクッ」と落ちているのがわかり、やはり合気道は不思議です。
たくさんの不思議が少しづつでも不思議でなくなるように、稽古に通い続けたいです。

by でこママ (2009-06-01 12:51) 

一楽斎

写真館ではなくて、写心館だよ。
ネットで調べたら、この言葉を使っている方が多いのですね。
同じことを考える人は、いるもんです。

でこママさんは、食べることばかり考えて(笑い)いないで、水滴に何がうつっているか、考えてね。

何かが映る、移る、遷る。ここはやはり、映る。
写真に心が映るから、写心館だよ。

「このときの動画を見て」
そういえば、撮影しましたね。
重心外し、軸抜き、自分(でこママ)の重さでガクッと落とすのが、崩しの術よ。
単なる接点を巧みに使った重心外しの技術だから、できますよ。
出来なければ、楽しくないし。
by 一楽斎 (2009-06-01 13:51) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0