ミサンガ(miçanga)の願い [素心]
子供たちは周囲の大人の在り様を、自分自身と結びつけて、受け止めていることが多い。時には大人が気付かないほど、子どもは深く自分自身を責めている場合もある。
写真は稽古の休憩中、子供のミサンガを撮ったもの。私は「これを付けていると願い事が叶うんだね。何と願ったの?」と、聞いた。そして幼いお子さんの応えに、胸を締め付けられた。
「右のは、お父さんとお母さんが離婚しないためのもの。左のは御友だちと離れないためのもの」と、応えたのだった。
また別の例である。あるお子さんの眉の形の変化に、私は気付いた。私は、お子さんはストレスで、自分で抜いていると判断した。このまま放置していると深い自傷行為に発展する可能性があるので、 保護者様と話し合いをさせていただいた。
夫婦なれば必ず諍いを起こす。それは私も同じ。これが諍いだと自覚していれば、子供たちへの影響も対処し安い。ところが何気ない諍いとは自覚しない小さなことを、子供たちは「それは自分が悪い子だから」と、自分を責めているのである。私にも経験がある。息子がまだ幼かった頃、ある日のテスト成績のことで盛んに「アー良かった!」と、しきりに繰り返していた。それは良い成績というよりも、想定したより悪くなかっただけのことであった。いぶかしく思った私は、「いったい、どうしたんだい?」とたずねた。彼は言った、「成績が悪いと、また、おトウ(父)とおカア(母)が喧嘩するから」と。実際に夫婦喧嘩と息子のテスト成績に因果関係はなかったが、彼は結び付けて考えていたことに驚いた。(だったらもっと勉強しろよ!とは冗談です。 )
子供たちはストレスを受けながら、やがてたくましく育っていく。何から何まで避けようとびくびくすることはないが、大人が忘れてしまった子供の繊細な優しさを、時々思い出したいものです。
「親も成長」へ続きます。
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