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政治とは [素心]

高き屋に 登りて見れば 煙立つ 民の竈(かまど)は にぎわひにけり   

新古今 仁徳天皇

現代読み. たかきやに のぼりてみれば けむりたつ たみのかまどは にぎわいにけり。
意訳. 昔の為政者は高い山に登って、治める国の庶民の生活ぶりを把握したのだろう。その生活の証が、煙だった。山の麓に煙あれ
ば、あそこで炭を焼いている。畑に煙立てば、あそこで草を刈って焼いている。職人の家から煙立てば、あそこは鍛冶屋だと知る。人が集まって煙立てば、そこで葬儀が行われていることを知る。国境に煙立てば、隣国が戦を仕掛けてくると、防人の狼煙(のろし)だ。民家の竈に煙立てば、今日の百姓は飢えずに食事の支度をしていることを知る。産業の煙。農業の煙。生活の煙。国防の煙。為政者は煙立つ姿に、政治が巧く機能していることを確認したのだった。「天下は安泰だな」と。

この時代の大和言葉では「庶民」・「百姓」と書いて、「おおみたから」と読む。「天皇が慈しむべき天下の大いなる宝である万民」という意味。さながら父が子を慈しむ想いと、同じではないか。上杉鷹山は「受け継ぎて 国の司(つかさ)の 身となれば 忘るまじきは 民の父母」と歌っている。

昨日民主党のツートップ、鳩山首相と小沢幹事長の辞任発表があった。この失政九ヶ月を、説明するまでもない。国を治める役割は、父の役割と、本質的に変わりないと思う私からすれば、現民主党政権は重要なことが先送りされた失政であり、それを選んだ国民の責任でもあると思う。自民党時代から首相がころころ変わり、わが国は収拾不可能な状態へ向かっているのではないかと、考えるこの頃である。

家長として父の役割、国を司る首相の役割、本質に共通するものがある。「父」を甲骨文字で見ると、手と斧の象形。狩猟をして家族へ獲物を獲る人。家族を守るために戦う人の権威の象徴。そのように考えられる。首相と政治の役割の第一は国防安全保障であり、第二は安定的経済成長の確保である。その点、鳩山前首相と小沢前幹事長は不透明な金銭授受の説明回避に終始して、その役割を果たせなかった。

この二人は、「高き屋に 登りて見れば 煙立つ」ことがなかったと、言い換えても良い。今の時代の「煙立つ」とは、情報のことではないと思う。流れる情報は、都合のよいようにデフォルメか歪曲されているものだ。では「煙立つ」とは、なんでしょう?私は現場力を自分で見ることだと思う。この国の社会の片隅で、責務を果たそうとして努力している人々の姿を、自分の目で見ることだと思う。100603-114425.jpg

このような観点から鑑みて、債務超過だというわが国の再生は、当然可能です。わが国の現場は生きている。私の最近の体験を紹介します。看護や介護は、過酷な労働であるとされています。私は病気がちな母親が、老人ホームのお世話になっています。簡単な手術を受け一週間の入院から、6月2日に退院しました。続いて4日に別の病気で別の病院に入院予定です。写真は、母の部屋に職員によって飾られた花とカードです。そこで私は3日4日と続いてホームを訪ねました。いつも職員の丁寧で慈しみある仕事の様子を、垣間見ています。現状について、問題点、今後の予定、予測など、分かりやすく説明を受けました。そして納得しました。

わが国はまだ、自分の持ち場をしっかり守る人々の働きによって、まだまだ機能しています。ギリシャ以上に悪い財政状況であれば、ギリシャ以上の緊縮財政に耐え、働けばよいこと。なせばなる、なさねばならぬ、なにごとも、ならぬは人の、なさぬなりけり。行財政改革を、実行しなければなりません。

近く選挙があります。政治の役割を実行できる人へ、投票したいものです。

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