講演会「日本が戦ってくれて感謝しています」で熱弁をふるう井上和彦氏=10日午後、大阪市北区の大阪市中央公会堂(彦野公太朗撮影)

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 本紙「正論」欄執筆メンバーでジャーナリスト、井上和彦氏の講演会「日本が戦ってくれて感謝しています」(主催・産経新聞雑誌「正論」、協賛・大阪冶金興業)が10日、大阪市北区中之島の大阪市中央公会堂大ホールで開かれた。

 詳報は次の通り。

歴史戦

 いま中国が仕掛けている歴史戦、韓国が仕掛けてくる歴史戦、皆さん頭にきますでしょう。でも、韓国や中国の批判で歴史に注目することで、日本の本当の姿がわかってくるという部分がある。これからお話することは、恐らく学校や、あるいは戦後の教育のなかで教えられてこなかったことです。

 まずはタイですが、過去には日本と一緒に第二次世界大戦を戦った同盟国です。だから8月15日に「アジアの声が-」などというなら、タイは(その批判勢力から)省かなければならない。タイ駐屯軍司令官だった中村明人中将は、戦争10年後の昭和30年にタイに赴き、空港で大歓迎を受けている。“侵略”したら、こんなに歓迎されるのか。ありえない。

シンガポールでは

 またシンガポールでは、山下奉文将軍率いる部隊が55日間で1100キロを進撃し陥落させた。その山下将軍の等身大の像が、シンガポールのセントーサ島の博物館にある。“侵略”されたはずのシンガポールにあるのです。

山下将軍は日本軍戦没者慰霊碑を建てただけでなく、敵兵を弔うために全高約13メートルともいわれる巨大な十字架を建てたが、こうしたことはかつてシンガポールの中学校の歴史教科書にも載っていたのです。こうなるとシンガポールも、日本を非難する「アジアの声」から省かないといけない。

モディ首相が感謝

 マレー半島のF機関については知らない人も多いが、兵庫県出身の藤原岩一少佐が率いた組織です。藤原少佐は戦後、陸上自衛隊の第1師団長を務めた方です。F機関は戦争中、英国の植民地政策に反対するインド人を集めた「インド国民軍」の創設に大きな役割を果たしました。

 一昨年9月、インドのモディ首相が来日して安倍首相と会談しましたが、その翌日の、とある会談がインドで大ニュースとなりました。モディ首相は、日本とともに英国と戦ったインド独立の英雄チャンドラ・ボースの同僚であった三角佐一郎氏と面会し、ひざまずいて手を握ったのです。

 またフィリピンでは、画家のダニエル・ディソンさんという方が「神風特別攻撃隊」について、自らの命を犠牲にしてアジアのために戦ったと高く評価しています。彼は「カミカゼは白人の横暴に対する最後の抵抗だった」といいます。

飛虎将軍廟

 台湾では「飛虎将軍廟」という神社があり、台湾沖航空戦で敵戦闘機に体当たりして散った操縦士の杉浦茂峰兵曹長を神様として祀っている。台湾の南端、高雄市の東方工商専科学校では、現在も教育勅語を教育に取り入れています。

 インドネシアでもオランダの約350年にわたる植民地統治を日本軍が終わらせ、PETA(郷土防衛義勇軍)を作った。国立英雄墓地には、第二次大戦終結後もインドネシアに残り、独立のために戦った日本兵も葬られています。

第一次大戦の「戦勝国」

 最後に地中海のマルタ共和国。第一次大戦の際、連合国の一員としてマルタ島に派遣された日本海軍の第二特務艦隊は、連合国客船などの護衛任務で連合国から高い評価を得た。特にドイツ潜水艦の雷撃で英国客船「トランシルヴァニア」が撃沈された際は、同艦隊の駆逐艦「榊」が僚艦とともに約3000人の英国将兵を救助しました。国王ジョージ5世はこのことを英国国会で聞き、国会では日本語で「バンザイ」の三唱が起きたといいます。

 「榊」はこの後、ドイツ潜水艦の攻撃を受け、艦長以下59人が戦死します。その方々を祀った石碑がマルタ島にあります。

 第一次大戦で日本は戦勝国だったということを忘れてはならない。皆さん、平成30年、2018年は第一次大戦の戦勝100周年です。そのときに、われわれは戦勝国だった、われわれは世界の秩序と人種平等を訴えた最初の国であるということを言って出ればいいのです。