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人格教育は未来への投資 [古武道・合気道道場(一社)楽心館]

 紀元節の今日、東京と千葉で、楽心館春季子供審査会が厳修されました。このような機会に武道教育に従事させていただく者として、国家観・教育観を表明したいです。保護者様・お子様向けに、お話させていただきました。

教育の種類

一言に教育といっても、様々な種類あります。知識教育・職業教育・知能教育・人格教育。「これらはどういう関係で、どれが一番大切ですか?」と質問してみました。意外に皆さん、戸惑うものですね。それも無理ありません。日本には戸惑わせるだけの、背景あります。

知識教育。これは「読み書きそろばん」にたとえられるように、国語や算数などの、知らない知識を習得させるための教育です。生きていくための基礎知識です。

体育や職業教育。これはスポーツ・武道などの運動。家庭や地域での労働体験のことです。健康とともに、社会貢献、人間関係の大切さを学びます。生きていくための基礎体力です。

知能教育。これは、論理的に問題解決する能力を、伸ばすことです。知識と体力を両輪として、社会でどう生かすか考える力です。

人格教育。調和のとれた人格形成をすることです。自立した人として、この人生を生きていくうえで、一番大切なことです。

様々な教育がある中で、これらの関係を最終目的は何かを、しっかり把握することは大切です。

人格教育の大切さ

教育について分かりやすく説いた教えに、教育勅語があります。教育勅語は、1890年(明治23年)10月30日、宮中において、明治天皇が山県有朋内閣総理大臣と芳川顕正文部大臣に対して与えた勅語のことです。

教育勅語に「學ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓發シ德器ヲ成就シ」(学問を学び手に職を付け、知能を啓発し徳と才能を磨き上げ)とあります。

「學ヲ修メ」とは、知識教育のことと思います。

「業ヲ習ヒ」とは、体育・職業教育のことと思います。

「以テ智能ヲ啓發シ」とは、知能教育のことと思います。

「德器ヲ成就シ」とは、すべての教育の最終目的であり、人格・道徳教育のことと思います。

知識教育と体育・職業教育を両輪として就学することで、知能を啓発する。こうして初めて人格が成就されるのです。

人格教育に戸惑う理由

教育の中で最も大切なのはどれか?それは人格教育ですが、はっきり答えにくい歴史的背景が、マイナス面とプラス面あると思います。

1.マイナス面。大東亜戦争後、人格教育は、ほとんど行われなくなりました。教育勅語に「德器ヲ成就シ」とあるように、人格教育とは道徳教育と同義です。「人格教育・道徳教育」は、軍国主義だというのです。

学校で道徳の時間の充実・道徳教材の作成の話題が出ると、朝日新聞などの一部マスコミや日教組が、様々な妨害をいたします。全国学力テストでは、日教組左派の活動が活発な北海道・沖縄県・三重県・大阪府は、学力下位に並びます。「子供の権利」・「ゆとり教育」ばかりに洗脳されては、人格の基礎である学力が伸びないのも当然です。こうした朝鮮民族運動と結託した社会主義を信奉する勢力は、日本の癌といえます。

武道教室へお子様を通わせる保護者様の多くは、こうした状況に不安を感じ、人格の陶冶を期待していることと思います。

2.プラス面。日本の伝統的な子育ての知恵として、人格教育の大切さは、「躾け・礼儀作法」として、あまりにも当然のこととして浸透しています。我が国は江戸時代より寺子屋教育が普及し、1850年ころの江戸での就学率は70%から86%でしたが、同時期イギリスの大都市での就学率は20%から25%に過ぎなかったといわれます。日本全国では1万5千もの寺子屋があって、人格ある僧侶やご隠居さんが少人数教育を行っていました。こうした寺子屋を基礎に、明治に学校制度が布かれ、教育勅語で教育の理想を説いていました。ここから育った学力と人格ある人々が、明治日本の発展を実現したのです。

至誠と礼儀

さらに伝統的稽古事に、「躾け・礼儀作法」が抜け落ちたら、それは稽古事ではありません。

楽心館でもお子様を預かると、立ち方・座り方。正坐姿勢と正座礼。「お願いします!・ありがとうございました!」の発声。こうすると、美しく気持ちいいことを学びます。大人クラスでも、第一にして最重要な技は、「至誠と礼儀」として学びます。

未来への投資

神戸大学 西村和雄教授 「躾けと所得」

上述の研究は、伝統的な躾を受けたお子さんが成人した後、収入に大きく影響するというものです。躾を全く受けなかった人と比較すると、年収86万円の違いです。40年間働くと3440万円の差になります。

山形大学 久保田康平准教授 「勤勉さと躾」

それはなぜか?上述の研究は、基本的躾を土台として勤勉性(忍耐力・社会性・やる気)が培われるとしています。

衣食足りて礼節を知る 

武道は社会的成功、名利を得るためのものではありません。しかし、武道とは危機管理の実践と考えれば、社会的成功は必然のはずです。豊かさは、人の幸福の大切な要素です。楽心館のお稽古人様の実践例を挙げてみましょう。

楽心館では今の季節、中高大学の各受験を終えたお子様の報告が聞かれます。自己アピールの作文や面接で、合気道のことを語るお子様があります。それぞれに、「技の修錬は当然として、もっと大きな目的のために学んでいる」、そのようなことを語っている様子です。彼らの合格の数%は、我々の稽古の効果だろうかと想像すると、本当に幸せをいただく思いです。

また一般クラスでは、次のような報告を聞きました。「合気道を始めたおかげで、きっぱりと保証人の依頼を断ることができました」というのです。会社を経営していると、仕事の関係者から保証人の依頼を受けます。この方は、お人好しな面があったのでしょう。これまで断り切れずに、何回か被害に遭っていたそうです。稽古を始めたことで、姿勢に軸が立ったのみならず、至誠心を持ったのでしょう。保証人の依頼を断ることも、親切心です。

武道と人格

武道と人格の関連について、語る資格が私にあるか、大きな疑問です。この疑問は横に置いて、自分に語ることができるのは、技には品格があり、それを高めることとの大切さです。

「永平初祖学道用心集(えいへいしょそがくどうようじんしゅう)」という道元の語録あります。その中で道元禅師は、次のように規定しています。「仏道は必ず行に依って證入すべき事」と。「仏道を学ぶ者は行から入れ」ということです。一番大事なことは行だ、ということです。

武道にとって一番大事なことは、技です。武道は、技に精進し技の品格を上げて、人の品格を上げるべき事です。

この動画は、私が40歳代のものです。今から思えば、これまで錬ってきた中心・直線・等速運動が未熟でした。当時は、ただ勢いだけの剣術です。今は、もっとゆったり剣を振って、技をかけることができます。技の品格が上がったといえます。

問題は、人としての品格と両立する道を、歩んでいるか?ということです。この問題を常に省み、羞じる心を持ちたいと思います。


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