つま 2 [家族]
一楽斎の家は、昭和40年代後半の建築。古いままに住んでいる。最近は台所の床に一部が抜けてきたので、補修したばかり。
ピンポーンと鳴る電池式の呼び鈴。巨大な目覚ましのようなけたたましい音を立てるであろう警報機は、ボクシングのゴングを赤く塗ったような形をしている。間違って鳴ると大変なので、コンセントは抜いてある。
さて話題は、洗面所の鏡。これも昭和40年代の代物。蛍光灯はジィーと唸り音を上げるのを聞きながら、家族は歯を磨く。私は髭を剃り、育毛剤をかけて頭髪マッサージ。そして妻は?
息子の部屋は二階。私の部屋?荷物置き場として一番広い部屋を占有中。妻の部屋はどこにもない。だから嫁いで以来、鏡台もなかったのだ。
私が仕事に出る時間帯になると、妻は洗面所に立つ。さながら廃棄物のような鏡に向かって、ささっと薄化粧をするのだ。この時彼女は、母から妻へ変身する。
「ジャッ!そろそろ出かけるよ!」と私。
「駅まで(自動車で)送っていいよ?」と妻。
「今日は自分で運転して行くから(君は僕のシンデレラだから)、送ってくれなくていいよ!」と、私は答えたのだった。
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