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特急サンダーバード50号 [素心]

 サンダーバードとは、国際救助隊が勇壮な音楽にのって大活躍する、ヒーローの舞台でした。しかし最近、心の耳を塞いでいる人、心の目も閉じている人々の舞台になってしまったようだ。

 右側から、ドンダカドンダカ!スットンスットン!(デジタル音楽器機から洩れる音)
 左側から、ピラリラピラリラ!タリラリ~ラーン!
 正面を見れば、珍妙なファッションでだらりとした姿勢、携帯ゲームに熱中だ。
 これは毎日、外に出れば経験すること。これをもって、今の人達はまったくなっていない、などと言っているのではない。自分のスタイルをもっている、そしてそれが公徳心を多少なりとも意識していればいいこと。でもね、どうだか?

 20年以上も前。ソニーの初代ウォークマンが出回った頃のこと。NHKのニュース解説で、どなたかが論評していた。電車の中でこれを使っている人を見ての感想。これからいよいよ我が国は、本格的個人主義の時代に入るのではなかろうか?そんな話でした。
 ならばそれで、何も問題はなかったのだが。違う方向に進み、危惧すべき事件が起きてしまった。

 報道によると、JR西日本の北陸本線、特急サンダーバード50号の中で女性がレイプされる事件が起きた。被害者は助けを求め、泣きも叫びもしただろう。そこに居合わせた約40人の人々が、聞こえない見えない振りをしてしまった。中には携帯デジタル音楽器機で、耳を塞いだ人もあったかもしれない。

 現状が個人主義ならばそれで、何の問題はない。これは一つの社会との関わり方のスタイル。社会的義務や公徳心を、忌避する意味ではない。
 ところがどうだろう、心の耳を塞いだ人、心の目を閉じた人が多いこと。単なる利己主義か引きこもりではないか?わがままの上に開き直っている。世にあれば権力闘争や裏返しなど、いろんなつらいことがある。そんな泥だらけの社会に入っていきたくない。また社会に不合理や悪を見ても、何も抵抗する気がない。自ら泥をかぶることの大切さ、学ぶ機会が失われているのだろう。
 何もデジタル音楽器機が、悪いのではない。実は私、父の代理で二つの用事があって、静岡へ走る新幹線の中でこの原稿を書いている(5月3日)。もし同じ場面に遭遇したら、どうだろう?

 平時は世間に媚びずに生き、淡々と文武両道に励む。社会変動と危難の時、武勇を発揮する。これが武士道でなかろうか。
 それを儒教では君子、西欧では騎士というのではないか。自分は何たるべきか、注意したい。
 一刀流極意歌に、

 斬り結ぶ 太刀の下こそ 地獄なれ 身を捨て行けば あとは極楽

 これは技であり、生き方。我が一点の素心としたいと、あらためて思う。

掛川駅の外に咲いていました。

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